横浜市 よこはま乳がん

乳がん治療を受けるにあたって
知っておきたいこと

アピアランスケアについて

アピアランスケアとは、がん治療に伴う見た目などの変化に対応することです。社会とのつながりを維持し、自分らしく生きられるよう医療者がサポートすることをいいます。

化学療法に伴う脱毛

乳がん治療で使用する抗がん剤は、脱毛を伴うものが多いことが知られています。多くの人はウィッグ(かつら)を使用して対応していますが、中には、ウィッグを購入せず帽子やバンダナを活用される方もいます。脱毛を伴う抗がん剤を使用する場合、薬を投与して10~20日後に毛が抜け始めます。それまでに準備をすれば大丈夫です。ウィッグを購入する場合は、①ご自身に合った予算 ②似合うと思えるもの ③かぶり心地 の3点をポイントに選択すると良いでしょう。治療を受けている病院で、情報を得て、ご自身にあった対策方法を見つけてください。

 

また、脱毛は頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛にも起こります。眉毛は脱毛前から書く練習をしておくと、脱毛後もご自身で対応しやすいでしょう。また、まつ毛が抜けると目にほこりなどが入りやすくなると言われていますので、気になる場合は眼鏡などを活用して目の保護に努めると良いでしょう。

皮膚や爪の変化

乳がん治療で使用する薬には、皮膚や爪の変化を起こすものがあります。
皮膚の変化
手のひらや足の裏が赤く腫れる、皮膚が剥ける、痛みを伴うなどの症状が出現することがあり、手足症候群といいます。また、徐々にですが、色素沈着を起こすこともあります。他にも、ざ瘡といって小さなニキビのようなものが顔を中心に出現することも稀にあります。頻度は使用する薬によって異なりますが、出来るだけ症状を抑えながら治療を続けられることを目指します。
対策として治療開始前からの清潔と保湿が重要とされますが、症状がある場合はそれに応じた薬が必要なこともあります。色素沈着については、日頃から日焼け止めを使用して、気になる部分はコンシーラーでカバーすると良いでしょう。皮膚の症状で気になることがあれば、担当医、看護師、薬剤師に相談するようにしましょう。
爪の変化
爪が黒く変化したり、線が入ったり、もろく剥がれやすくなったりすることがあります。また、爪の周囲に炎症を起こすこともあります。特に、手元はご自身でも気づきやすいため、気になりやすい部位でもあります。水仕事をする時はなるべく手袋を使用し、爪用のオイルやクリームで乾燥を予防したり、爪を切る時は爪切りではなくやすりで整えるなど、刺激を軽減すると良いでしょう。
また、トップコートを塗ることで、爪の保護につながります。黒ずんだ爪をカモフラージュするために、色つきのマニキュアを塗布することもできます。ただし、マニキュアを落とす際の薬剤は刺激が強いとされていますので注意が必要です。そのような刺激を少なくするために、お湯ではがせるマニキュアも販売されていますので、活用してみてもよいかもしれません。爪の周囲に炎症がある場合は、痛みを伴うことが多く、炎症を抑える薬などを使用することがあります。症状がある場合は、担当医、看護師、薬剤師に相談するようにしましょう。

手術後の下着や補整具について

乳がん手術後は経過に合わせて、下着やパッドを選択する必要があります。下着や補整具の役割は、①術後の胸を保護する ②左右の体のバランスを整える ③ふくらみを補いボディイメージを整えることに役立ちます。傷の位置や大きさ、治り具合などに合わせて必要なものを選びます。一般に、手術直後・痛みが軽快するまでの間・元の生活に戻るときの3段階に分けて、その時々に適した下着やパッドを選ぶと良いでしょう。

手術後早期は、傷や排液チューブを圧迫することがないようにワイヤーのない柔らかめの下着で、後ろに手を回さなくて良い前開きタイプの物がよいでしょう。2か月程度したら、ワイヤー入りの下着を着用することも出来ます。放射線治療中は皮膚が弱くなるので、摩擦の少ない素材が良いでしょう。腋窩リンパ節郭清術後は、リンパの流れが悪いことがあるので、締め付けが強めのものは避けましょう。乳房の手術を受けた方向けに作られた下着もありますが、自分にとって心地よいものであればどんなものでもかまいません。カップ付きのタンクトップなども使いやすいという声をききます。治療の経過や段階に応じて、着用しやすいものを使用していきましょう。

乳房全切除後は、補整具(パッド)を下着に入れて形を整えることもできます。補整具には、柔らかくて軽いものやシリコン製で重みのあるものがあります。また、手作りの物を使用している方もいます。

他にも人工乳房や人工乳頭乳輪などシリコン製で直接肌に着けてそのまま入浴できる補整具もあります。また、乳房部分切除後に乳房の左右差により下着が合わない場合も部分的にパッドを使って補整できます。
購入するときは、手術後の回復状態を考慮して商品を選び、なるべく試着をして、着け心地やサイズをしっかり確認するとよいでしよう。