横浜市 よこはま乳がん

乳がん治療を受けるにあたって
知っておきたいこと

妊孕性 (にんようせい)について

乳がん治療を行うことで、治療終了後に妊娠が困難になる場合があります。
妊娠の可能性を残すことを妊孕性温存 (にんようせいおんぞん)といいます。

治療による妊孕性低下

乳がんは再発の可能性を下げるため、化学療法(抗がん剤)やホルモン療法を行うことがあります。
化学療法は、卵巣機能を低下させるため、化学療法終了後、そのまま無月経となることがあります。
またホルモン療法を行う場合は、5~10年の内服期間が必要となり、この間は避妊する必要があります。一般に35歳をすぎたころから徐々に卵子の質が低下するため、治療終了後の年齢によっては、自然妊娠が困難になる可能性があります。

妊孕性温存

乳がん治療終了後に妊娠の可能性を残すために、治療前に受精卵凍結、卵子凍結、卵巣組織凍結などを行い、妊孕性を温存することが可能です。希望される場合は、妊孕性の温存を行っている施設と連携しながら乳がん治療を行っていきます。 受精卵凍結とは採取した卵子とパートナーの精子を受精させ、凍結し保存しておく方法です。本方法は不妊治療として行われる体外受精の手法として広く実施されており、有効性・安全性が確立された技術です。パートナーがいらっしゃる方には、この方法が第一選択となります。患者さんの年齢により大きく異なりますが、凍結胚1個あたりの妊娠率は約20~30%と言われています。

卵子凍結は、患者さんから採取した卵子を受精させずに凍結しておく方法です。患者さんの年齢により大きく異なりますが、卵子1個あたりの妊娠率は 4.5~12%程度とされています。治療を受けられる時点でパートナーがいない方が対象になります。 卵巣組織凍結は、臨床試験段階の治療と位置付けられています。腹腔鏡手術により卵巣を摘出して、卵子が多く含まれる卵巣組織の一部を凍結保存しておく方法です。

 神奈川県の取組、相談先について

都道府県単位の「地域がん・生殖医療ネットワーク」が設立され、神奈川県では神奈川県がん・⽣殖医療ネットワーク (KanaOF-Net)が設立されています。生殖医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、聖マリアンナ医科大学、メディカルパーク横浜)と乳がん治療機関が連携をとりながら、スムーズに乳がん治療と妊孕性温存を行えるようシステムが構築されております。 また乳がん治療に際して行う妊孕性温存治療に係る費用に対し助成金制度もあります。

神奈川県の助成については「妊孕性温存治療について」をご参照ください。