緩和ケアは、がん患者さんの身体やこころのつらさを和らげ、生活やその人らしさを大切にする考え方です。がんの療養中は、痛みや吐き気、食欲低下、だるさなどの身体の不調、気持ちの落ち込みや絶望感などのこころの問題が日常生活を妨げることがあります。このような問題は、程度に差があるものの多くのがん患者さんが経験します。最近のがん医療の考え方では「がんを治すこと」だけではなく、患者さんがどのように生活していくのかという「生活の質」も大切にするようになっていますので、がんと診断されたときから受けることをお勧めしています。また、早期から緩和ケアを受けた場合、生活の質が改善され予後(病気の経過)にもよい影響があるという調査もあります。
身体やこころの辛さは、まず医師、看護師にお伝えください。症状を和らげる方法を一緒に考えていきます。つらさが緩和されず症状が続くときは、緩和ケアを専門としているチーム(医師・看護師・薬剤師・臨床心理士など)が対応します。(がん診療連携拠点病院であればどの施設でも緩和ケアチームがあります。)
また、緩和ケアはがん患者さんだけでなく、ご家族も受けることができます。治療を受ける患者さんだけでなく、患者さんを支えるご家族もつらさを感じるのは当然のことです。患者さんが安心して治療を受けられるようにしていくためにも、ご家族に「緩和医療・ケア」について正しく理解していただくことが大切です。