放射線治療とは、高いエネルギーをもった放射線を照射する(放射線をあてる)ことで、がん細胞の増殖を防ぐ治療方法です。
乳房部分切除術(温存療法)における放射線治療の役割は、周囲に残っている可能性のある、目に見えないがん細胞を死滅させることです。手術と放射線治療の両方を行うことで乳房を温存しつつ、乳房内の再発を抑える(約3分の1に減る)ことが可能になります。そのため、乳房部分切除を行った患者さんは基本的に放射線治療の対象になります。
乳房温存術後の放射線治療
目的 | 局所再発予防 |
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適応 | 基本的に乳房温存術後患者は全例行う(高齢者は要相談) |
照射部位 | 残存乳房全体 (領域リンパ節を含む場合もある) |
治療時期 |
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また、乳房全切除後であってもリンパ節転移が複数ある場合は、胸壁やリンパ節などの再発を防ぐため、薬物療法に加えて放射線治療の対象になります。全切除後に乳房再建を行う場合、放射線治療が行えない場合がありますので、再建の時期や方法については担当医とよくご相談ください。(「乳房再建手術について」も参照ください。)
乳房全切除術後の放射線治療
目的 | 胸壁・領域リンパ節再発率の減少 生存率の向上 |
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適応 | 乳房切除患者 腋窩リンパ節転移4個以上 腋窩リンパ節転移3~1個でも病変の浸潤度に応じて行う |
照射部位 | 胸壁 鎖骨上 (内胸骨領域をふくめることもある) |
治療時期 |
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いずれの場合も、局所再発を防ぐとともに、生存率の改善にもつながります。放射線治療は何回かに分割して行います。
引用:2021年 Patient Navigator 養成講座資料(放射線治療における看護:講師 吉田信子)