横浜市 よこはま乳がん

これから薬物療法、放射線治療を受ける方へ

放射線治療について

手術後に行う初期治療としての放射線治療は、乳房を部分切除した後や全摘した後の胸壁、その周囲のリンパ節からの再発を防ぐために行います。

どんな人に放射線治療が必要か

放射線治療とは、高いエネルギーをもった放射線を照射する(放射線をあてる)ことで、がん細胞の増殖を防ぐ治療方法です。

乳房部分切除術(温存療法)における放射線治療の役割は、周囲に残っている可能性のある、目に見えないがん細胞を死滅させることです。手術と放射線治療の両方を行うことで乳房を温存しつつ、乳房内の再発を抑える(約3分の1に減る)ことが可能になります。そのため、乳房部分切除を行った患者さんは基本的に放射線治療の対象になります。

乳房温存術後の放射線治療

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目的 局所再発予防
適応 基本的に乳房温存術後患者は全例行う(高齢者は要相談)
照射部位 残存乳房全体 (領域リンパ節を含む場合もある)
治療時期
術後化学療法を行う場合:
手術⇒化学療法⇒放射線治療
または、化学療法⇒手術⇒放射線治療
術後化学療法を行わない場合:
手術後約1か月前後より放射線治療を導入
※術後20週を越えないことが推奨されている

また、乳房全切除後であってもリンパ節転移が複数ある場合は、胸壁やリンパ節などの再発を防ぐため、薬物療法に加えて放射線治療の対象になります。全切除後に乳房再建を行う場合、放射線治療が行えない場合がありますので、再建の時期や方法については担当医とよくご相談ください。(「乳房再建手術について」も参照ください。)

乳房全切除術後の放射線治療

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目的 胸壁・領域リンパ節再発率の減少
生存率の向上
適応 乳房切除患者
腋窩リンパ節転移4個以上
腋窩リンパ節転移3~1個でも病変の浸潤度に応じて行う
照射部位 胸壁
鎖骨上
(内胸骨領域をふくめることもある)
治療時期
術後化学療法を行う場合:
手術⇒化学療法⇒放射線治療
または、化学療法⇒手術⇒放射線治療
術後化学療法を行わない場合:
手術後約1か月前後より放射線治療を導入

いずれの場合も、局所再発を防ぐとともに、生存率の改善にもつながります。放射線治療は何回かに分割して行います。
引用:2021年 Patient Navigator 養成講座資料(放射線治療における看護:講師 吉田信子)

放射線治療の実際

放射線治療のイメージ

手術が終わって2~4週ほどで病理結果が分かり、手術後の治療方針が決まります。放射線治療が始まるのはそれからです。放射線は一度に多くを照射すると副作用が出やすいため、16~30回/約4~6週間かけて分割して少量ずつ照射を行います。まずは、放射線科医師の診察を受けて、治療計画を立て開始日を決めてから平日毎日、外来に通って頂き治療を行います。

治療中から治療後1、2か月におこる副作用として、皮膚炎はほぼ必ず起こると考えられます。摩擦や刺激を避け、清潔に保ち、保湿をするとよいでしょう。プールでの運動は塩素が皮膚の刺激になるため控えたほうが良いでしょう。人によってはだるさや、放射線宿酔 (しゅくすい) (ふわふわと乗り物酔いのような感覚)が起きることがあります。治療後数か月から数年単位後に起きる副作用として、いずれも稀ですが、放射性肺臓炎、虚血性心疾患、肋骨骨折などが挙げられます。腋窩郭清を行っている方は、手術した腕のリンパ浮腫が起きる確率が上がると言われています。「手術後の生活の注意点」も参照にしてください。

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