横浜市 よこはま乳がん

乳がんと診断されたら

  1. TOP
  2. 乳がんと診断されたら
  3. 乳がん治療の総論

乳がん治療の総論

乳がんの治療は、手術・薬物治療(ホルモン剤・抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)・放射線治療を組み合わせた「集学的治療」を行います。乳がんのタイプや進行度によって、患者さん一人ひとりに最適な治療を行います。

サブタイプ、ステージについて

乳がんには様々なタイプがあることが分かっており、針生検や手術で得られた組織を病理検査で調べて判定します。エストロゲン受容体が発現しているタイプを「ホルモン受容体陽性乳がん」と呼び、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激で増えるため、ホルモン治療が効果を示します。HER2というたんぱくが強く発現しているタイプを「HER2陽性乳がん」と呼び、分子標的治療薬(ハーセプチンなど)と抗がん剤の併用が有効であることが知られています。一方で、エストロゲン受容体とHER2も陰性のタイプを「トリプルネガティブ乳がん」と呼び、ホルモン治療やハーセプチンはは効きにくいため、抗がん剤治療が中心となります。また免疫チェックポイント阻害薬を抗がん剤と組み合わせて使える場合もあります。

このように、乳がんはホルモン受容体とHER2の有無により、4つの乳がんサブタイプに分けられ、それぞれで治療に使う薬が異なります。最近では、HER2が強く発現していないけれど一部の治療薬が効く、「HER2低発現」というタイプについても注目されており、よりきめ細かい治療選択が可能になってきています。

また腫瘍の大きさやリンパ節転移、遠隔転移の程度により0~4までのステージに分けられます。ステージ0~2、そして、一部のステージ3を「早期乳がん」と呼びます。遠隔転移を伴うステージ4は全身に転移が見られ進行した状態と考えられます。

(詳しくは患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023 年版「治療を受けるにあたって」 をご覧ください。)

タイプ分類

手術ができる乳がん

遠隔転移を伴わないステージ0~3の乳がんは、手術を中心に放射線治療や薬物療法を組み合わせた集学的治療を行います。乳房内の乳がんの広がり方やリンパ節転移の有無によって手術の方法は異なります。乳房部分切除(温存術)の場合、多くは手術後に1か月程度、通院で放射線治療を受けていただきます。乳房全切除の場合でも、病状によっては放射線治療を行うことがあります。

また、ホルモン受容体が陰性で化学療法が効きやすいタイプのホルモン受容体陰性乳がんや、HER2陽性で抗HER2薬(ハーセプチンなど)と化学療法が有効なタイプでは、手術の前に4~6か月の化学療法を行った後に手術をすることがあります。手術後に追加の薬物療法を行うこともあります。手術を先に行った場合には術後病理の詳しい結果を確認してから術後の薬物療法の選択を決めていきます。

乳がんの治療は、一人ひとり病状や背景によって異なります。担当の医療チームとよく相談しながら、ご自身に合った治療方針を一緒に決めていきましょう。

サブタイプとその治療

手術が難しい乳がん

診断の時点で骨・肺・肝臓など、体の他の部位に乳がんの転移が見つかった場合、ステージ4の乳がんの診断となります。残念ながら、この段階では乳がんを完全に治すことは難しいと考えられています。そのため、現在ある病気の進行を出来るだけ抑え、つらい症状がでないようにしながら、できる限り長く生活していただけるように、薬物療法を中心としたがん治療と、心や体のつらさを和らげるための緩和ケアを併せて行っていきます。がん治療は効果と副作用のバランスを考えながら、患者さんとよく相談して進めていきます。生活や治療のことでご心配なことや相談したいことがありましたら、どうか一人で悩まずに、遠慮なくスタッフに声をかけてください。