乳がんには様々なタイプがあることが分かっており、針生検や手術で得られた組織を病理検査で調べて判定します。エストロゲン受容体が発現しているタイプを「ホルモン受容体陽性乳がん」と呼び、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激で増えるため、ホルモン治療が効果を示します。HER2というたんぱくが強く発現しているタイプを「HER2陽性乳がん」と呼び、分子標的治療薬(ハーセプチンなど)と抗がん剤の併用が有効であることが知られています。一方で、エストロゲン受容体とHER2も陰性のタイプを「トリプルネガティブ乳がん」と呼び、ホルモン治療やハーセプチンはは効きにくいため、抗がん剤治療が中心となります。また免疫チェックポイント阻害薬を抗がん剤と組み合わせて使える場合もあります。
このように、乳がんはホルモン受容体とHER2の有無により、4つの乳がんサブタイプに分けられ、それぞれで治療に使う薬が異なります。最近では、HER2が強く発現していないけれど一部の治療薬が効く、「HER2低発現」というタイプについても注目されており、よりきめ細かい治療選択が可能になってきています。
また腫瘍の大きさやリンパ節転移、遠隔転移の程度により0~4までのステージに分けられます。ステージ0~2、そして、一部のステージ3を「早期乳がん」と呼びます。遠隔転移を伴うステージ4は全身に転移が見られ進行した状態と考えられます。
(詳しくは患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023 年版「治療を受けるにあたって」 をご覧ください。)



