乳がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法(ホルモン療法、化学療法、分子標的治療)があります。乳がんの性質(サブタイプ)や、進行病期(ステージ)、乳がんの位置、身体の健康状態、年齢、合併する他の病気の有無などに加えて、患者さんの希望を考慮しながら治療法を決めていくため、同じステージでも人によって治療法が異なります。
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術後の経過観察について
周術期治療は人によって異なります
周術期が終わったあともフォローアップが続きます
一般的に術後のCTやMRI、骨シンチなどの検査は、検査をすることでのメリットが認められず、放射線被ばくや造影剤アレルギーのデメリットがあるため、乳がんの術後の定期的な検査は推奨されていません。また、血清腫瘍マーカーに関しても定期的な測定は推奨されていません。外来での問診、診察時に「転移の可能性がある症状」※を認める場合には必要な検査を実施します。一方で、局所再発や対側乳房の早期発見のために、1年ごとの定期的なマンモグラフィが推奨されており、超音波検査も加えることが望ましいとされています。
※「どんな症状があったら担当医に相談するか」もご参照ください。
術後の食事や運動、生活習慣等
術後の生活では、健康的な食事、活動的であること、健康的な体重を維持することが重要とされています。大豆製品など植物エストロゲンを含む食品は、過量に摂取しなければ問題ありません。牛乳や肉類も問題ありません。健康食品に関しては、その効果のほとんどは医学的に立証されていませんので誇大広告に注意してください。化学療法・ホルモン療法などの治療を受けている間は相互作用に気を付けなければならないので、使用前に担当医へ相談しましょう。乳がん術後の肥満は再発や死亡のリスクが高くなる可能性がありますので、定期的な運動習慣を身につけるようにしましょう。なお、腋の下のリンパ節郭清術を施行された方は、運動時の注意点について担当医へ確認するようにしてください。過度な飲酒や喫煙は、乳がんのリスクが高くなる可能性があるため、控えることをお勧めします。
どんな症状があったら担当医に相談するか
月に1回は自己触診を行い、乳房の一部が盛り上がっていないかや、赤く腫れていなか、へこみやひきつれはないか、乳頭の陥没やただれ、分泌物がないか確認してください。(詳しくは「自己触診の方法」をご覧ください。)
上記のような症状がある場合は担当医に相談し、必要に応じた検査を受けてください。
遠隔転移(骨、肺、肝、脳など)の徴候として、腰痛、関節痛など骨と関連した痛み、咳、全身倦怠感、食欲不振などがあります。吐き気やめまい、頭痛、麻痺なども要注意です。一時的なもので改善してくる場合には心配ありませんが、改善せず持続する場合や悪化する場合には担当医に相談しましょう。
不安な気持ちへの対処方法
不安は、今後の治療や見通しが不確かなこと、家族や仕事への影響など、様々なことに思いをめぐらせることで起こります。そのため、病気や治療、対処方法、今後の見通しなどについて、情報や理解を得ることで和らぐこともあります。まずは、医師や看護師、薬剤師など、医療スタッフに遠慮せずに思っていることを話してみてください。自分の気持ちを整理するのは一人ではなかなか難しいもので、周囲の人と話をすることで、気持ちが徐々に整理され安定することもあるでしょう。
また、がん診療連携拠点病院にはがん相談支援センターがあり、治療法や、今後の療養や生活など、がんの治療にかかわるさまざまな相談に対応しています。
その他、人によっては、自助グループ(患者会や援助団体)が助けになることもあります。
不安が長く続いて身体的な症状が改善しない場合などには、心の問題を扱う専門家(精神腫瘍医)や精神科医、心療内科医、臨床心理士などに相談するのもよいでしょう。
関連リンク
- 自己触診の方法(ピンクリボンかながわHP)
- がん相談支援センター(神奈川県HP)